aVin(アヴァン)は南仏のローヌ&プロヴァンス地方からワインを輸入し、販売しているお店です。南仏の文化、アート、暮らし、ワイン、そしてつくる人たちの情報を発信します。

ローヌワインの愛好家はこの10年間に5割増加!2017/9/14

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フランスワイン雑誌「La Revue du vin de France」より

 

フランス国内において
ローヌワインの愛好家はこの10年間に5割増加!

 

今週末の3連休は
あなたもぜひ南仏のローヌワインを選ぶ勇気を持って!!

 

北ローヌのエリア名をいくつか挙げるなら・・・
コンドリュー、サンペレ(白)、コートロティ、コルナス、エルミタージュ、サンジョセフ(赤)・・・
ローヌ川を下りながら、思い浮かべていますが
飲みたいものがつきません。

 

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南ローヌなら
コートデュローヌ、シャトーヌフデュパプ、ジゴンダス、ヴァケラス、リュベロン、ヴァントゥー(赤)タヴェル(ロゼ)・・
白もわずかにあります。

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気軽~に飲むものから、エレガントなものまで

Discover Rhone !!!!

 

★ローヌ&プロヴァンスワインの店aVin(アヴァン)では
9/14(木)から原宿で週1日だけ、南仏ワインバーも始めます!
南仏ワインをグラスでぜひ♪
http://avin.jp/event/1331

 

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フランスではボルドーに次ぐ生産量を誇る南仏ローヌワイン。

近年確実にその人気を集めており、10年前と比べその消費量は49.4%増大している。

ヴァレ・デュ・ローヌの希少性は広く認知され、オークションでも価格はコンスタントに成長を続けている。

北ローヌでは、コートロティのギガル御三家がさらなる伸び。ラ・ランドンヌ2005年とラ・ムーリーヌ2005年はそれぞれ408ユーロ、384ユーロとなっている。

南ローヌのシャトーヌフ・デュ・パプに至っては、ペゴー社が際立って評価を高めており、2000年度のキュベ・ダカーポはマグナムサイズで744ユーロ、2007年度のボトルで300ユーロとなった。

またシャトー・ラヤスとボノー社の二大巨頭も忘れてはならないだろう。

 

La Revue du vin de France no.607/dec 2016-jan 2017記事抜粋
www.larvf.com.
翻訳 橋井杏

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「新しい世代はこれからもワインを愛するだろうか?」2017/8/31

La nouvelle génération aimera-t-elle le vin ?

 

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著)La RVF編集長ドゥ二・サヴェロ(Denis Saverot)

La Revue du vin de France no.607/dec 2016 – jan 2017 記事抜粋

 

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「若年層とワインの離婚のリスクはあるのか」

 

先日パリで開かれた、ワインとその新技術に情熱を寄せる若き人々の集い

「ヴィノキャンプ(Vinocamp)」で交わされた話題の一つです。

 

会が開かれたメゾンドメタロス(Maison de Métallos)はパリの社交場的存在で、過激派のモスクがあるピエール=ティボー通りからすぐ隣に位置します。この日私は初めて、軍の警備と拳銃の保護のもとでの緊張感漂う会議に招かれていました。ところが場内は一転、穏やかな雰囲気に包まれたワイン会議となりました。

 

フランスでの18~30歳までの若い世代の10人に7人がワインを口にすると明言しても、その中でほぼ毎日飲むという人は1人にも満たないでしょう。10人中3人が週2、3回、もう3人はごく稀に、そして残り3人は全くワインを飲まないという統計となり、若者世代において食前酒にワインを選ぶのはたった12%のみとなりました。

 

広報担当で富裕層の専門家であるエリック・ブリオンは、若い世代の目からはワインの世界が厳格で保守的に見えてしまっていると説明します。そしてY世代(1980−2000年の間に生まれた世代)、彼が呼ぶには「ワインハッカー世代」達をより惹きつける為にSNSの力がなくてはならないと言います。ブリオン氏によると、ワイン製造者は成功のためブランド戦略と同様、若い世代のしもべに位置しなければならないそうなのです。即興的で、形式にはまらない、一時的な楽しみ、そうしたことが若い世代にとって最も親しまれるのです。YouTubeで栓抜きを使わずコルクを抜き取る動画が800万回視聴されたことはブリオン氏にとって大変な驚きだったそうです。

 

フランス世論研究所は、若い消費者世代に関するより詳細な調査を行なっています。研究所所長のジェローム・フーケ氏は会議においてこの微妙なニュアンスを解説してくれました。研究所の見解によると、フランスの若年層世代の63%がワインは家庭内で学ぶものと考えているそうです。ワインのことを知るために40%の人が身近な人から意見を聞き、28%がワイン売り場の人から、27%が友人から、そしてたった19%がインターネットから、7%がワイン専門のアプリから学んでいることがあきらかになりました。フランスというブドウ栽培の伝統がある国では、若い世代がインターネットの情報に信頼を寄せ自分の知識として語ることはしないのです。

 

とくに、アンケート調査では若い世代に30%存在する非ワイン消費者の内の66%が、ワインを飲まない理由に「味が苦手だから」を選んでいます。ここで明らかにしておきたいことには、ワイン愛好家達が認識している通り「ワインは文化的飲み物である」ということなのです。その習慣は自然発生的に生じるのではなく、文明の中で脈々と受け継がれてきた遺贈として現代に存在しているのでしょう。生まれつきワインが好きな子供はいません。ワインを味わう楽しみは生涯を通じてゆっくり身についていくのです。

 

結果として、こうした習慣が無くなればワインの消費量は激減します。

フランス世論研究所によると、12%の若年層世代は家庭においてワインを飲むことはなく、7%はその宗教的理由から決して口にしないそうです。千年以上にわたりフランスでは歴史や宗教の断絶問題に対し、とくに自由思想家などは食卓でのワインの共有を提唱してきたことは象徴的です。

 

人々はみなフェイスブックやツイッターのアカウントは持っています。しかし本心では真の共生に立ち返りたいのです。人々と出会い、交流をかわすことを求めています。

 

仲間と共有し、一生記憶に残る思い出を持ちたいと。それは若い世代も同じことです。

 

ワインの文化とはすなわちパルタージュ(共有)とランコントル(出会い)なのです。

 

La Revue du vin de France  no.607/dec 2016 – jan 2017 記事抜粋

www.larvf.com.

La RVF編集長ドゥ二・サヴェロ

翻訳 橋井杏

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『いいワインを飲むまで20年もずっと待ってなんかいられない!』マーク・シバール氏 2017/7/21

スペシャルインタビュー 『マーク・シバール氏』

 

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声は大きく、気さくな性格、ラグビー選手のような肉体 …

元ソムリエであったマーク・シバール氏は、パリで1850年から続く一流ワインショップ「カーヴ・オジェ」のトップに就任して以来今年で30周年。

 

今回はシバール氏からワインの「味」と「保存」について話を聞いた。

 

 

聞き手:ドゥニ・サヴェロ、フィリップ・モーランジュ  写真:レジス・ギルマン

La Revue du vin de France no.607/dec 2016 – jan 2017 記事抜粋

 

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La Revue du vin de France(La RVF) :ワインはどのように飲まれますか?

 

マーク・シバール氏

大抵のワインには匂いがついています。私はそこにアロマを求めているんです。例えば白ワイン、この場合はレモンやミント、シダ科の植物などの香りを探るようにしながら飲みます。良いワインには必ず良い芳香が存在します。

 

La RVF:ワインのローブ(色調)に関しては?

 

シバール氏:

決して色で判断をしないことですね。ワインは絵画ではないのです。視覚からワインに入っていくのはソムリエにとっては正しくない方法です。しかし優れた味のワインと言うと、自分は透明で明るいものより、やや濁りのあるものの方を好みます。

 

La RVF:なぜ亜硫酸塩の添加には反対なのですか?

 

シバール氏:

硫黄成分はワインの味を硬くしてしまうからです。香りも阻害し、その味の進展に足かせをはめてしまう。

 

「素晴らしいワインと言うのは長期に渡り保存ができる、20年越しにその味を知れるでしょう!」

 

などと以前はよく言われましたが、我々の時代にワインを開けるまで20年待つことを望む人っているのでしょうか。

私だったら、いいワインがあればすぐに開けて飲みたいですね。だから保存料を加える必要などないのです。

亜硫酸塩は有害な成分ですから、欧州共同体は「酸化防止剤(亜硫酸塩)添加」をラベルに表記することを義務付けました。

 

La RVF:いつ頃からカー

・オージェでのワインの仕入れを始めたのですか?

 

シバール氏:

1990年代初頭かな、その頃ボルドーやシャンパーニュの味がソムリエだった頃の時代と比べずいぶん変わってしまったと気づいたのです。その昔、ローランペリエのグランシエクル(Grand Sciècle)といえばペリエジュエのベルエポックやローダーのクリスタルとは異なる味を持っていたのです。味は際立っていた。今日では選別された酵母がいつも同じ味を生み出すようになってしまいました。このスタイルの変革には戸惑いました。それから、他と違う味を持つワインを擁護するようになったのです。

 

La RVF:「他と違う味を持つワイン」とは一体なんでしょうか?

 

シバール氏:

当初から「保存料無添加」という言葉に取り憑かれていたのではないのですが、私はずっと守り続けられてきた味を探していました。

 

例えば80年代初頭のマコンのジャン・テヴェネ(Jean Thevenet)は、ブルゴーニュで素晴らしいシャルドネを製造していて、以前はとても愛好していましたが、やがて保存料を過度に使用するようになってから買い入れをやめてしまいました。後になって、保存料が入っていると必ず頭痛が引き起こされると気がつきました。まだ若い頃、ピエール・ペラルドンとフィリップ・ブルギニョンのドメーヌ付近で素晴らしいヴィンテージのボルドーとブルゴーニュワインを飲んだことがあります。濾過されていない、50年か60年代のもので、ボトルの底に10㎝ほどしか残っていなかったのですが、それでもちゃんと味がありました。90年代に入り、ワイン栽培方法の変化によって何もかも不味くなってしまいました。その時代、キリアコス・キニゴプロス氏やギイ・アカッド氏たちが一世を風靡した時がありましたね。バトナージュ(醸造時に澱の沈殿をかき混ぜワインに旨味を持たせること)の禁止がされたのもその頃です。ボルドーにおいて状況はさらにひどいものでした。それからは、信頼のできるブドウ栽培場であったアンリ・ジャイエ (Henri Jayer)、ユベール・ド・モンティール( Hubert de Montille)、ジャック・ダンジェルヴィル ( Jaques d’Angerville) 、ヴァンサン・ルフレーヴ (Vincent Leflaive)、ルペールダンヌ=クロード ( le père d’Anne=Claude)などに向かっていくようになりました。

 

La RVF:エノロジー(ワイン学)とはつまり災害に等しかったのでしょうか?

 

シバール氏:

ワインは8000年以上前から作られ続け、その伝統は父から息子へと受け継がれてきました。

ところが二つの世界大戦の間の時代にエノロジーというものが生まれ、ブドウ栽培者に積極的に取り入れられていったのです。当初、エノロジーはワイン作りにおける問題に対処するためにありました。動物が病気になった時に活躍する獣医に似ていますね。50年が経ち、全てが変わりました。濾過法、逆浸透膜法、凍結技術、機械での収穫。テクノロジーが支配してしまうという恐ろしいことになったのです。これらは許し難いですね、ワイン畑の介入者のようです。エノロジーというのはワインの田舎っぽさや農民らしさを取り除き、繊細で精密なインターナショナルな味を生む目的なのです。そして、その度に用いられる多くの化学薬品によってエノロジーはヌヌロジー(フランス語でくだらないという意味のneuneuとœnologie をかけた言葉)になってしまったというわけですね。

 

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マーク・シバール 1962年 パリ出身。

シバール氏が 30年前からオーナーとなって切り盛りしているパリ市内オスマン通りのカーヴ・オジェは、1850年創立のパリ最古のワイン・カーヴ。

HP https://www.cavesauge.com/

 

 

La Revue du vin de France  no.607/dec 2016 – jan 2017 記事抜粋

www.larvf.com.

マーク・シバール

翻訳 橋井杏

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シャトーヌフ・デュ・パプの見聞録をお届け2017/7/16

シャトーヌフ・デュ・パプでは、それぞれの醸造所が伝統的なワイン作りに日々励んでいる。

 

しかし同じ場所で、古株のブドウ樹やシャトーヌフ・デュ・パプに典型的なグルナッシュを用いずに作られる特別なワインが存在することをご存知だろうか。ローヌの「色彩豊かなパレット」から届く推薦ワインをご紹介したい。

 

La Revue de Vin de France n°585 記事抜粋
(ロベルト・ペトロニオ 著)

 

記事⑤2

 

地表を覆う小石と13品種からなるブドウ畑のパッチワークは、シャトーヌフ・デュ・パプと聞いてイメージする時に、最初に浮かぶ風景だろう。

 

アペラシオン(AOC)とは、フランスにおける法律に基づいたワインの産地を示す呼称であり、シャトーヌフ・デュ・パプはその中でも古くから指定されている(1923年)。ローヌ川から押し流され磨かれた小石が覆う地帯であるだけではなく、独自の方式で管理された多様な魅力を持つこの地。

まずはその自然豊かな土壌から見てみよう。この地の土壌は深部から、粘土質、砂岩、砂、小石、そしてさらに大きな石灰石という構成になっている。深さによって地質学的に変化があることにより、貯水としての性質を備え、乾季にも対応できるだけの水を保持することが可能となる。

 

AOCシャトーヌフ・デュ・パプ内の北東部に位置するクルテゾン地域では、粘土層が厚く、ブドウ開花に最適な条件を与えてくれる。有名なシャトー・ド・ボーカステルやドメーヌ・ド・ラ・ジャナスの区画である”Coudoulet”(クードレ)も同様である。

 

 

 <La Crauラ・クロー高地(区画)>

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ブドウ畑が丘陵のどこに位置しているかが全てを決定づける。またテロワールの違いを明確にする。まさにラ・クロー高地南部は、太陽をいっぱいに浴び深みを帯びたワインの要であり、シャトーヌフ・デュ・パプの最も優れたテロワールの一つに位置付けられている。(ドメーヌ・デュ・ヴュー・テレグラフ)しかし最近では、気象変動によりラ・クロー北部で造られるドメーヌ・ピュイ・ロランなど実際よりもかなり低く位置付けされていたワインに大きな可能性が生まれてきている。

 

続いてブドウ品種について見てみよう。

 

77%をグルナッシュが占めており、13種(グルナッシュノワール、シラー、ムールヴェードル、サンソー、クノワーズ、ミュスカルダン、ヴァカレーズ、ピクプールノワール、テレノワール、クレレット、ルーサンヌ、ブールブラン、ピカルダン)のブドウ畑がAOCで認定されているが、正確に言えば18品種が存在し、グルナッシュグリ、グルナッシュブラン、ピクプールグリ、ピクプールブラン、クレレットブランが栽培されている。

 

これこそがシャトーヌフ・デュ・パプの独自性と優れた点の源流である。

 

 これらの品種によるアサンブラージュは限られたブドウ樹から、かつAOCにより限定された範囲で行われている(南ローヌ地域のその他AOCではこの多様なアサンブラージュは認められていない)その一方で、シャトーヌフ・デュ・パプを一種のブドウのみで造ることも可能である。グルナッシュ100%、ムールヴェードル100%、あるいはシラー100%のシャトーヌフ・デュ・パプも存在する。ここでご紹介したいのはこの広大なブドウ畑(ワイナリー)のこうした特殊な側面なのである。

 

訳者追記:フランス語には、ワイナリー(醸造所=ワインをつくる場所)という言葉はありません。私たちがいう「ワイナリー」を意味したいときは、「ヴィニョーブル vignoble (ブドウ畑)」というしかないのです。つまり、ブドウ畑のあるところがワインをつくるところというわけです。逆にいえば、ブドウ畑がどこにもなくて、ただワインをつくる工場だけが存在する、ということはあり得ないことになります。

 

 

<キュベ “tradition”トラディション と”speciales” スペシャル >

各々のドメーヌではトラディション(伝統)と呼ばれるキュベを生産、毎年丹精込めて作られるこの伝統的な製造法によるワインがドメーヌのスタイルを表す顔となる。

いくつかのドメーヌでは“トラディション”しか作らないというこだわりを持つところもある(クロ・デ・パプ、ドメーヌ・シャルヴァン、ドメーヌ・ド・ヴィルヌーヴ等)

 

その一方で、“スペシャル”と呼ばれるカテゴリーのキュベが存在する。

 

そのドメーヌの中でもより高いランクに位置づけられ、かつブドウの出来の良い年にしか製造されない。ドメーヌ・ド・マルクーなどの選別された樹齢の高いブドウ樹からのものであったり、ドメーヌ・ド・ラ・ロケットのキュベ ピエ・ロンなどの特別なある一区画の畑からであったり、またムールヴェードル種をふんだんに用いたドメーヌ・ド・ボワ・ド・ブルサンのキュベ デ・フェリックスなど。“トラディション”とは異なるブドウ品種やブレンドを用いて作られるものがキュベ“スペシャル”だ。

 

 

<15ユーロから買える偉大なワイン>

シャトーヌフ・デュ・パプをテイスティングしていくと、ここで作られるワインがいかに特別であるかがわかってくる。

例年顧客の希望に合わせ、よりフレッシュで飲みやすくなるよう改善を加えるラ・ジャナスやサン・プレフェールなどは、収穫を遅らせることによりワインのタンニンがよりまろやかになるよう工夫している。特に、長期保管をせず作られてからすぐ開栓する場合は大変良い方法である。私の場合、グルナッシュの繊細さが好みであり、またシラーの直線的で新鮮な味わいよりも、正直で厳格さすら感じられるムールヴェードルに惹かれてしまう。

しかしながら、特にアメリカの市場の影響もあって多様なスタイルが共生しているのである。アメリカでは少し甘めに造られるシャトーヌフが好まれる。

シャトーヌフ・デュ・パプには品質と手頃な価格の良い関係が築かれている。15〜40ユーロの価格で非常に豊富な種類が用意されているからである。一方、100ユーロのシャトーヌフ・デュ・パプの中には、その4、5倍の値段で売られるボルドーやブルゴーニュを凌ぐものがあることもここに記しておきたい。

 

 

<シャトーヌフ=デュ=パプ 2012ヴィンテージ品評会>

Domaine de la Vieille Julienne
ドメーヌ・ド・ラ・ヴィエイユ ジュリアン
Les Hauts-lieux レ・オゥ・リュ

17/20点

例年は5%しか用いないムールヴェードルを2012年には20%使用。炭のようなドライな香りがとても強く、濃厚でありながらも熟した果実に似た柔らかさを感じる。ムールヴェードルの構成が、口の中で角張った印象を与えつつ、土台のしっかりとした美しい味わい。
年間生産本数:4800本

 

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<適温・・そしてマリアージュ>

シャトーヌフ・デュ・パプの裏面のラベルに「適温18℃、組み合わせにはジビエや赤肉料理」と書かれたものを見かけることは稀ではない。しかし、18℃はシャトーヌフ・デュ・パプにとって高すぎる温度であり、まるで火が通りすぎたステーキを食べるのと同じことである。
14℃くらいでサーブし、食事の間に少しずつ室温に慣らしていくのが良いだろう。

 

しかしそれ以前に、シャトーヌフ・デュ・パプを飲むためにジビエの季節が到来するのを待つよりも、もっとこのワインを一年中楽しむための良い方法があるというのに、

なんという悲劇だろう!

シャトーヌフ・デュ・パプの寛大で強さのある味わいは、地中海料理とも非常に相性が良いのである。このことを証言してくれたのが元ミシュランの星付きレストランの料理人で現在ワイン製造者となったジェローム・グラダシィ氏である。

彼のレシピは?「ルジェの赤ワインソース仕立て」ルゥ・ブランと呼ばれる小麦粉とバターで香ばしく炒めたつなぎを用いる、伝統的ながらも軽やかさを持つソースである。その香ばしさと濃縮されたワインの味わいは魚との相性抜群。

フレッシュで重すぎない年数の浅いシャトーヌフ・デュ・パプを選ぶことがポイントである。

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<温暖化に対応するブドウ苗>

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どうすれば地球温暖化による気象変動に対抗できるのか。60年台後半、シャトーヌフの製造者たちはシラー種の中にアルコール度数を下げる驚くべき解決法を見出した。しかしながら気温の上昇に伴い、ブドウがやや熟しすぎてしまうことが度々起こった。

ドメーヌ・ド・ラ・ジャナスのクリストフ・サボン氏はかの有名な13種の苗木を全て植え直すことを考えたのである。

「15年前から、グルナッシュの畑にシラーを植え始め、それを毎年繰り返し行いました。独自の多様さという所に立ち返ってみたいのです。シラーはアルコール分を少なくするが繊細さをもたらします。グルナッシュの間にムールヴェードルというような、白と赤を混合して植えることもしました。」と彼は語る。

今日の傾向は、地下深くに水を蓄えた土壌から生まれるムールヴェードル種によるものである。そこにサンソーやクノワーズといった品種も加わる。そしてまた、セレクション・マサールによりアペラシオンの基準に即したグルナッシュも復活の兆しが見えてきているのだ。
(訳者追記 ※セレクション・マサールとは、優良クローンぶどうだけではなく、野生品種を1つの区画に植え、色々なタイプのブドウ樹から様々なキャラクターを引き出す古来より伝わる伝統的な手法。)

 

La Revue de Vin de France n°585 2014/10 記事抜粋
ロベルト・ペトロニオ 著 (Roberto Petronio)
翻訳 橋井杏
www.larvf.com.

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『ジャン=クロード・エレナ エルメスの嗅覚、ワインを語る』2017/7/13

フレデリック・マル、ヴァンクリーフ&アーペル、エルメス・・・

 

フランス香水の数々の傑作がエレナ氏の手によって生み出された。フレグランスの巧者が香水とワインの関係を解き明かす。

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La Revue du vin de France(La RVF) :
あなたの嗅覚はグラースで調香師をされていた父親によってかなり早い段階で形成されたのですね。

ワインを口に運ぶ前に、その香りを嗅ぐことにはどのような喜びがあるのでしょうか。

 

Jean-Claude Ellena :
父は何か食べる前あるいは飲む前にその一つ一つの素材をまず嗅がせるということを僕と兄弟にさせてきました。特別なことではないのです。しかし、慌てて飲み込まず、その前にゆっくりと呼吸し、思考することの喜びを発見しました。父は飲み込む時にも同じように一呼吸置き味わうことを教えました。

今では、同じことを私は自分の子供達にし、彼らもまた同じように子供に伝えています。まるで家族のしきたりのようですね。食事前の休息の儀式です。なんとも美学的な過程でしょう。これと調香師の基礎となる嗅覚を獲得するのとでは全く異なります。ここでは、焦げた味、甘い味、苦い味を知るのみで、その精緻さや有効性を理解するのはもっとずっと後のことです。私の孫は19歳になるのですが、彼は女性の気を引くためにどのように食べ物を味わい、そして味わったものをどう語るかを見せることで成功しているみたいですね。まるで鋭い釣針のような有効な手段です。「僕の感覚の喜びから君に奉仕いたします」といったところでしょうか。

 

La RVF :
最初のワインの体験はどのようなものでしたか?

 

エレナ氏 :
ワインは私の専門ではありません。けれども両親や祖父母はよく、子供が7、8才になればほんの少しのワインを味見させてくれました。子供にとっては、いけないと分かっているからこその楽しみがありました。二十歳くらいになり、貴重な美しいワインを開けることのできる裕福な人たちと交友する機会に恵まれました。かつてジュネーヴで、誕生年の1947年のシュヴァル・ブランを飲んだ時のことは、あぁ今でもその味が記憶に残っていますね!その時をきっかけに様々なワインを発見してきました。その多くは一緒にワインを試飲しようと呼んでくれた人のおかげでした。

 

La RVF :
香水とワイン、香りを嗅ぐ時の違いはなんでしょうか。

 

エレナ氏 :
香水には二秒もかかりませんが、ワインの場合だとグラスに注ぎ入れてから次第に近づいていくための儀式のような段階がありますね。

こちらの方が官能的で興味深いと思います。もう一つの違いは、ワインは分かち合えるということです。オー・ド・トワレを共有することはできませんが、一本のワインを分け合うことは可能です。この二つは同じ弁証法ではないのです。

ワインについて言葉を共有し、会話を交わすことが、私たちのつながりを深めてくれるのです。ワインの最大の楽しみはそこにあります。各人がその複雑さを様々な角度から捉えることができるでしょう。ワインを作るにあたっては人間が味を生み出します。ブドウの香りは、300〜400個の分子で構成されています。人の手を経て熟成したワインになる頃、香りの分子は1800個以上になります。人間は自然と融合し、豊かさと複雑さ、ヒューマニティを与えることができるのです。

 

La RVF :
すなわち香水において大きく異なるということですね。

 

エレナ氏 :
調香師の立場からすれば対極であると言えます。私は香りを出来るだけ単純化し、20〜30種の構成物のみ用います。その香水に何を語らせたいかを想像しながら。

ブドウ栽培者は自然が生み出すものに美を与えます。私の場合は、自然が私の語らせたいと願う通りのことを語るようにその首を絞めるようなことをします。真の独裁者と言えますね。バラの花は300〜400個の分子で構成されていますが、それらは2つか3つまでに減らすことができます。バラの香りの錬金術と私が呼んでいることなのですが、続いて茶の香りをつけたバラ、ラズベリーのバラ、プルーンのバラ、と作っていくのです。自然は戯れ、人間を使って遊んだりもします。私は自然と戯れるのです。それを遊戯と呼ぶのです。

 

La RVF :
ワインを語るように香水について語ることを好まれますか?

 

エレナ氏 :
ブドウ栽培者やソムリエは香りに重点を置きながらワインを語ります。「これは果実の香り、木の香り、少しスパイスと、バニラの風味…」とね。あるいはブドウの苗や土壌、全ての背景について。全くもって、なんと素晴らしい世界でしょう!彼らはあなたをワインの世界に導き、あなたがこれから口にしようとしているワインついて興味を持ってもらえるよう語りかけるのです。私はそれを大いに称賛します。美しい成功です。彼らはワインをより優れたものに変えてくれるのです。職人の方達は私たちよりもより深くワインについて語ることが必須とされているから。フランスでは、ワインは香水と同じようにどう語れば良いかが分からないままにされてしまっています。たいがい香水の販売員は私をひどくがっかりさせるのです。「紳士用か、女性用か…あ、これはいい。最後の一つになっている。こちら売れ筋の商品ですよ。」とね。これでは夢がありません。

 

La RVF :
ワインと香水にはある共通の概念があります。すなわちこの二つによって生まれる喜びは、夢や想像といったものによって増大するということ。

香水が肌の上で香るのと同じくワインは食事に花を添えてくれます。

 

エレナ氏 :
少しパーカー氏の批判になるようなことを言いますが(笑)。ワインについて語る際「オーク」、「強いキャラメルの」、「ドライフルーツ」などの言葉を使い、味を固定観念化してしまう所に問題があるのです。痛々しい演説のようで、くどくてまるで「愛しています。」と繰り返し言われるのに似ています。これは手っ取り早い口説き方と同じで、今日の私たちがよく使う手ですが。私はすでに歳を重ねたせいもあるかもしれません、今ではボルドーよりもブルゴーニュの方が好みです。ブルゴーニュの方がずっと多様で、驚きがあります。また、ワインというのは物語を語って聞かせます。これは私たちが皆探し求めているものでしょう。そして次にその物語を誰かに語って聞かせることでまた新たな段階に進めるのです。良き語り手は、良き色男なのですね。

 

La RVF :
では言葉においては?果実、スミレ、火薬、といったテイスティングの用語はあなたの嗅覚の専門用語に翻訳されるのでしょうか?

 

エレナ氏 :
ワインの専門家たちは香りの比較の対象に自然物を用います。それはワインがブドウを基本としているためです。香水において、感覚のパレットというのはもっと大きく開かれているのです。他の言葉を用いたりもします。柔らかな、あるいは引き締まった香り、渋み、切り立ったような、あるいは張りのない香り・・・。感覚的な語彙、触れた感覚に関する言葉。もし私が、「ミモザの花」とだけ言うことに満足できればそれも悪くないでしょう。しかし、例えば「これは私の作り出したミモザです。その粉末のようなテクスチャー、絹のような、軽快さを求めて生まれたのです。」とすれば途端にその感覚的な部分、一つの花であることを超えた点を言い表すことができます。つまりミモザの視覚的、触覚的な側面を表現したことにつながるのです。もし香水においてもこうした側面を表現することができれば、それはあるものに価値を付加したと言えるでしょう。

ワインにおいては、柔らかな、とか引き締まった、あるいはその他に形容される果汁がありますが、香りにおける語彙のフィールドは存在しませんね。ですので、口の中の味覚だけでなくもっと感覚的な部分に向かうことに励んでみてください。味覚は感覚の大聖堂なのです。嗅覚は感覚のみに限られてしまいますが、しかし味覚は熱、冷たさ、触れる感覚、それにまず目が補ってくれます。準備は整い、全ての感覚に接近することができるのです。しかしたいていの場合は、ワインの視覚的な点だけが語られるだけですね。色、透明感、そして味。

 

La RVF :
常日頃から、あなたは絶えず香りを分解することをされていますね。ワインにおいても同じなのでしょうか?

 

エレナ氏 :
私はできるだけ普通の人でありたいと、知識をひけらかしたりしない人間であるよう努めています。

 

その理由は単純で、恋に落ちる感覚を忘れたくないからなのです。

 

哲学者ロラン・バルトの定義するように、私は恋をする際に理由を求めないのです。香水のブティックでは、嬉しそうな顔の方もいる一方、逆に不快な顔をされることもあります。来られた人にはこの感情的ショックを受けてほしいと思っています。調香師である以上、私はこの驚きを得ることができません、あまりに知り過ぎてしまいましたから。香水を嗅いだ途端、それを分析してしまうのです。しかしワインにおいてはまだそれが可能です。仮にあるワインを説明するように言われれば 、何も知らないように振る舞うことができます。またそうしなければ自分の専門領域に入りすぎてしまうのです。しかし一方ソムリエたちと話をすることは大いなる喜びとなります。彼らが語るその物語、紹介してくれるワインの性格に耳を傾けるのです。そして時々それとなく言うのです。「そこへ、こんな言葉を追加することもできるんじゃないかな」と。

 

La RVF :
ワインはインスピレーションの源泉ですか?

 

エレナ氏 :
ボルドーワインの単一性には、いささかの倦怠感を感じざるを得ません。もちろん素晴らしいものもあります。骨組みのしっかりとした熟成された、しかしながら私は枠組みにはまったものは好きではないのです。私が興味を持つのは「驚き」なのです。もしあるワインが私に味覚や嗅覚の驚きをもたらした場合、それは後に何か導き出す手がかりとなり得るのです。イヴ・サンローランの「In Love Again 」の製作にあたっては、サンセールの果実のみずみずしさと同じ感覚をトップノートに使いたいと思いました。私はサンセールのバラのような、またグロゼイユやフワンボワーズやカシスの香りに惹かれていました。素材としてこの快活さが欲しかったのです。サンセールのもつ衝動のような。

 

La RVF :
赤か白か、好みはありますか?

 

エレナ氏 :
白には大きな可能性がありますね。白の特上ワインの場合だと、ペラン氏のシャトーヌフ・ブラン(シャトードゥボーカステル)を飲んだ時に感じました。奥深く進んでいき、その余韻もまた素晴らしかった。巷の白ワインにも素敵な驚きがあふれています。赤ワインでは、時に残念にも「なんだ、こんな程度か。」と諦めてしまうことがあります。

 

La RVF :
ワインでは獣臭や土に例えられる香りがあります。ワイン醸造では馬の汗や濡れた毛皮といった芳香を生み出すこともありますが、香水においてもこのような「不快な芳香」は、心地よいものになり得るのでしょうか。

 

エレナ氏 :
私たちが不快と感じるものは、いわば人間の動物的側面なのです。排泄物や汗、皮膚と体の匂いを私たちは遠ざけようとします。なぜかといえばそれは直接「死」のイメージにつながるからです。調香師として私はここに立ち向かいたいと思います。人間の動物的な部分を知覚し、受け入れるべきだと思うのです。獣やジャコウネコの芳香はワインに温かみをもたらします。

 

6月のある日、人々を引き連れてラベンダー畑に出向いた時のことです。私は一緒に生えていたセージとラベンダーが合わさった香りが、人間の汗と全く同じだと気がつきました。私はこの試験じみたことが気に入りました。彼らは畑を降っていき、やがて約半分の人が「わぁ!スポーティな匂い!」と叫んだのでした。自分自身の香りを認識することは、恋愛の関係においても決定的に重要なことです。自分はあなたの香りが好きだから一緒にいたい、ふきつけた人工的な香水ではなくて、その体の香りが好きだから、と。

 

La RVF :
ワインには妙薬としての面もありますね。

 

エレナ氏 :
そう思います。祖母は私が12か14歳くらいの頃にジャスミン畑に連れていってくれたことがありました。花を摘み取っていたのは若い女性たちです。そのジャスミンと汗の混じった香りは、美しい女性とも重なってなんとも官能的でした。ワインにおいて、ブドウ摘み、圧搾、空になった収穫カゴ…そういった分け合うことのできる喜びに満ちています。この一連の動作の中に強いエロティシズムが潜んでいるように感じます。

 

La RVF :
ワインにおいて固有なものとは?

 

エレナ氏 :
一本のワイン、その背景には人間と自然が共存します。それが興味深いことなのです。チリのワイナリーを訪れた時には、水撒きにいたる全てが機械に任されていたことに驚きました!そこのワインを試飲いたしましたが、よくできていました。しかしある意味での言うことなしだったのです。

 

La Revue du vin de France(ラ ルヴュ デュ ヴァン ド フランス/RVF)2016/02 記事抜粋

www.larvf.com.

ジャン=クロード・エレナ
翻訳 橋井杏

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