aVinは、長野&南仏ビオワインを販売、卸、輸入しています。長野&南仏の文化、アート、暮らし、ワイン、そしてつくる人たちの情報を発信します。

ギョウザと白ワインの美味しい関係2017/5/19

 

文:オリヴィエ・プシエ  Olivier Poussier

2000年度 世界最優秀ソムリエコンクール優勝者

 

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昔ながらの大衆料理というと、日本では「餃子」と呼ばれる香ばしく焼いたラビオリに似た肉詰料理があります。餃子の中身は主に豚肉かエビが使われますが、「太陽が昇る国」では豚肉が主流のようです。豚肉で作るととても柔らかく、ジューシーで食べやすくなります。

 

この料理に合わせるため、やや強めの赤のワインを開けようと思う人は多いのではないでしょうか。

 

しかし豊富な食材の組み合わせから生まれる餃子の味の構成を考えると、これは大きな間違いと言いたいのです。

生姜や、ラー油と呼ばれる辛味の効いた油、ニンニクに似た香りをもつニラ、そしてキャベツ…

特に生姜の存在は、赤ワインをその選択肢から外す大きな要因となります。生姜の持つ特徴的な香りはワインの香りをぐらつかせ、分断させてしまう宿命的な罠となる危険が大いにあるからです。

 

 

《ならば香り高き白ワインを》

 

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赤よりも白のワインを推薦いたします。

 

その際は香りが良く、味のあるものを、グランクリュなどにこだわる必要はなし、このポピュラーな料理と同じようにワインも値段を抑えたものが良いでしょう。

 

 

例えば、Domaine de la Janasse ドメーヌ・ドゥ・ジャナスの Cotes du Rhone コート・デュ・ローヌ2014年はいかがでしょうか。

 

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シャトー主のクリストフ・サボン氏が用いるグルナッシュ・ブランは、AOCシャトーヌフ・デュ・パプの麓の砂状の土壌で育ちます。そのスパイスのような香りは、10%ずつ配合されたヴィオニエとルーサンヌから、そして軽いミネラルの味はクレレットとブールブーランによります。

http://www.lajanasse.com/en/cotes-du-rhone/

 

 

Domaine du Marcel Richaud ドメーヌ・ドゥ・マルセル・リショー の Cairanne Blanc ケランヌ・ブラン2015年に対しては、厳しい口の中のチェックも少し寛容になってしまうようです。クレレット35%、ブールブーラン31%、残りの割合をルーサンヌ、ヴェルメンティーノ、ヴィオニエ、グルナッシュ・ブラン、マルサンヌが占めます。このキュベと日本の餃子のもつ強い味わいは相性の良いこと請け合いです。

 

 

オリヴィエ・プシエ  Olivier Poussier

2000年度 世界最優秀ソムリエコンクール優勝者

 

–  La Revue de Vin de France  n°606  2016/11 記事抜粋

翻訳 橋井杏

 

ローヌ&プロヴァンスワインの店 aVin(アヴァン)

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「グラン・ヴァン(偉大なるワイン)とは、感情であり文明である。」2017/5/13

 

シャトーヌフ・デュ・パプ「シャトー・ドゥ・ボーカステル」代表

フランソワ・ペラン氏 スペシャルインタビュー

 

文:ドゥニ・サヴェロ、写真:ロベルト・ペトロニオ

–  La Revue de Vin de France  n°606  2016/11 記事抜粋

 

 

「グラン・ヴァン(偉大なるワイン)とは、感情であり文明である。」

 

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1世紀以上にわたり、シャトーヌフ・デュ・パプの一端をなす有名な「シャトー・ドゥ・ボーカステル」の代表フランソワ・ペラン氏。

 

今回は彼にグラン・ヴァンとは何か、そして彼の成功の元となる原動力について話を聞いた。

 

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La Revue de Vin de France(以下RVF):

シャトーヌフ・デュ・パプにおけるグラン・ヴァン(偉大なるワイン)とは、あなたにとってどのように定義づけられるのでしょうか。

 

ペラン氏 :

まず、偉大なシャトーヌフ・デュ・パプとは、年月を重ねていくことができるワインを指します。AOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)は一つの観念から生まれました。それは、「旅をするワイン」であることです。すなわち、歴史あるアペラシオンであるシャトーヌフ・デュ・パプにおいて我々もまた、「旅をするワイン」、言い換えれば、生まれてから年を重ねてゆくワインを作り出さなければならないのです。

二つめは、グラン・ヴァンにとって大変重要な、「感情」そして「文明」を送り届けるという役目があるのです。

 

 

RVF :「文明」とは一体何を意味するのでしょうか?

 

ペラン氏 :

ワインにおいてそれはたしなみ方、「作法」に値します。表現力のあるワインとは、テロワール(ブドウにその地域特有の性格を与える農地)、ブドウ品種の混合、気候環境、地理学、習慣、そして人類、それら全てが重なり合わさって誕生するのです。特別な表現方法と文明との足し算がグラン・ヴァンを生むのです。

 

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RVF :あなたはまろやかなワインよりも角張った味わいを持つワインを好まれるそうですが。

 

ペラン氏 :

私は伸びやかで変幻自在なワインよりも、「型」を持ったワインに魅力を感じます。ある一定の制限を持つワインとも言えます。枠組みの中にきちっと収まりそこから突出しない、とも言えるでしょう。我々のボーカステルのワインはその形式に沿っていると思います。丸みがあるよりも、ツンと角があって四角型のイメージですね。

 

 

RVF :それではシャトーヌフ・デュ・パプを作るにあたってグルナッシュを減らし代わりにムールヴェドルの割合を高くする方が良いのでしょうか?

 

※訳者追記

グルナッシュ種は単体では用いず、ほかのブドウと混合することによってその効果が高まる。アルコール度数が高く、タンニンは少なめ、スパイシーかつフルーティーなワインを作ることができる。他のブドウをまろやかにし、飲みやすい味わいを生む。ムールヴェドル種は色が濃く、アロマ豊かでタンニンもストラクチュアもしっかりとしている。木樽での熟成に適しており複雑な味わいを持つワインが生まれる。

 

ペラン氏 :

いいえ、グルナッシュでもしっかり「型」があるワインは存在します。ムールヴェドルは北欧風の性質を持ち、シャトーヌフ・デュ・パプの地域でもより北部において栽培されます。(中略)全ての大切なことは、困難の中から浮かび上がってくるものです。ワイン造りには「才」と「狂」の間を揺れ動きながら、そのギリギリの境界線を導き出すことが必要なのです。全ての偉大なワインにおいてそれが言えると思いますし、そうして造られるワインだけがグラン・ヴァンとなり得るのでしょう。シャトーヌフ・デュ・パプの地域では、ムールヴェドルの果実を熟させるのはとても難しいのです。しかしそれがうまくいけば、完熟したムールヴェドルで造られたワインに勝るものはないと私は思います。

 

 

RVF :アルコール度数の高さに消費者は興味があるのですが、これはいかがでしょうか。

 

ペラン氏 :

原因となる温暖化現象はワイン製造者にとって最も重要な課題の一つです。我々も多くの取り組みをしてきました。特にベントナイトという粘土を使い、ブドウのタンパク質をはじめに除去することでイースト菌の作用を減少させるなどの実験を行いました。光合成の速度を下げることも試しています。また土地に自生する酵母を選別し、より糖分を多く分解しアルコール度数を高める種類を探し当てているのです。

またシャトーヌフ・デュ・パプという土地で、13種の認定されたブドウ品種があることも一役買っています。アルコール度数の低いブドウもありますので、それらを混合することよってうまくバランスを取ることができるのです。我々も13品種とムールヴェドル、そしてクノワーズを栽培しています。ここは北の限界点に位置し、他の地域よりもアルコール度数の少ないブドウが作られます。

 

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RVF :数年前からシャトーヌフ・デュ・パプのいくつかのドメーヌではサン・プレフェールやル・クロ・サン・ジャンといった世界的にも認識されるに至ったものがありましたね。レ・ペランはどうでしょうか?

 

ペラン氏 :

彼ら若きグループ達がこうして未来を具現化することにとても嬉しく感じています。しかしやるべき課題もあります。我々のシャトーヌフ・デュ・パプも特別でありながらフランスにおいて未だ知名度が足りていません。しかし確かなことは、シャトーヌフ・デュ・パプが一つの道筋を見出したということです。つまり「質」を持ったワインであるということ。そう遠くない時代、シャトーヌフ・デュ・パプがそのあるべき姿を探し求めていたころを覚えています。あの当時、疑問は山積みでした。「より軽さのあるワインを作るべきだろうか」「よりエレガントなものに仕上げるべきか」「もっとアルコール度数を下げた方が良いのだろうか」…などとね。今日では幸い、舵の方角は決まったのです。

 

 

RVF :ペランの白ワインにおける「塩味」は一つのスタイルなのでしょうか。

 

ペラン氏 :

はい、我々は白ワインを造るには南部の地域に属し、酸味のほぼ感じられないワインが生まれます。グリセリンの含有率が高く、とろりとしたまろやかで柔らかなものになりますが、何か補う要素が必要となってきます。テイスティングの時の何かパンチのある刺激、この場合は「塩味」となります。隠されたしょっぱさや苦味がワインの骨組みを作るのです。それなしには、フラットなワインになってしまうでしょう。これこそが、ワインの角(かど)を生み出してくれるのです。

 

 

RVF :なぜプロヴァンスのロゼは世界中で最も美味しいと言われるのでしょう。

 

ペラン氏 :

驚かれるかもしれませんが、プロヴァンス地域は比較的冷涼なブドウ栽培地になり、そこで生まれるロゼは美味でエレガントになる可能性を多く秘めています。ロゼは社交的な場でよく飲まれます。我々の作るロゼは他より複雑な味わいを持ちますが、夏のヴァカンスシーズン、地中海、そうした開放的なイメージにぴったりのワインと言えるためでしょう。

 

 

RVF :ボーカステル、あるいはロゼ・ド・ミラヴァルなどは世界中で販売されています。今日のフランス市場の状況はいかがでしょうか。

 

ペラン氏 :

フランス市場は日々成長しています。ローヌワイン、レ・ペラン、シャトー・ドゥ・ボーカステルやミラヴァルはフランスにおいてもその消費量を伸ばしています。海外輸出において、ローヌワインは従来に渡りフランスの一流のワインに位置づけされてきたのですが、フランス国内においてはブルゴーニュやボルドーよりやや遅れていると言われ、今ちょうどローヌワインが再認識されている時期にあたります。

まだこれから先は長いでしょうが、数年後にはフランスでも、ローヌ地方において、特にローヌ南部において優れたワインが生み出されていることが広く知られてゆくようになると私は信じています。

 

–  La Revue de Vin de France  n°606  2016/11 記事抜粋

 

お取り扱いはこちら

http://www.jeroboam.co.jp/wine_maker/wine/perrin/reserve.html

https://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=13

 

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ロゼワインのエスプリとその運命は・・2017/4/29

グラン・ロゼ

と呼ばれるものは一体どういった姿なのだろう。

 

セバスチャン・ラパック(文筆家、文学史家、愛飲者)

−La Revue de Vin de France 2016 7/8 記事抜粋

 

この謎に答えるため、私はマルセイユ行きのTGVに乗った。

 

途中にある小さな駅サン・シル・シュール・メール(Saint-Cyr-sur -Mer)で下車。そこで私を待っていてくれたのは、プロヴァンスにあるカディエール・ダジュール(Cadière-d’Azur)の隣に位置するバンドール村のシャトー・ドゥ・ピバルノン(Château de Pibarnon)のオーナー、エリック・ドゥ・サンヴィクトール氏であった。

 

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ピバルノンのHPより、奥に地中海を望む 〔ピバルノンはバンドールを代表するトップワイナリーのひとつ〕

 

彼と二人でラ・シオタの丘の上のレストラン 、ロッシュ・ベルでの待ち合わせに向かう。

待ち合わせの相手はジャン=クリストフ・コモール(Jean-Christophe Comor)氏

グラン・ロゼのエスプリについて思想する人物である。

 

行けばいつでも幸福をもたらしてくれるプロヴァンス地方

松林や薔薇の色をした家々、瓦屋根、葡萄畑、糸杉、永遠の蒼(あお)をもつ地中海の輝き…

そんな美しさで満たされている。

 

 

「プロヴァンスの真髄であった古き時代のロゼワインを再発見することに専念しています。

この地方の葡萄苗はグラン・ロゼの生産に適しているのです。」

話は前置きなしにエリック・ドゥ・サンヴィクトール氏の言葉から始まった。

 

それに続くジャン=クリストフ・コモール氏

「彼に“マロ”について話してあげなさい。マロ(malos)とはとても大事な用語です。グラン・ロゼが上質であるためには発酵が完了していなければならないのです。マロ、すなわちマロラクティック発酵とはブドウのリンゴ酸と、酵母ではなく乳酸菌による発酵のことで、瓶詰めと出荷の前までにこの発酵が完了するための適度な期間が必要なのです。つまり収穫年の12月くらいでは、瓶詰め、出荷にはまだ早すぎるのです。」

 

夏になると商品陳列棚にずらりと並ぶ大手製造社のロゼ達、悲しいことにこれらは発酵段階で正しいケアを受けていないのが現状である。

 

 

人気が伸びてきているロゼ

流行に乗りブルゴーニュではピノ・ノワール種で、バスク地方ではタナ種でも作られるようになった。また南西部のモントーバン( Montauban)付近ではネグレット種、ルシヨン地方(Roussillon)ではグルナッシュ種が用いられる。

〔ここで紹介のバンドール シャトー・ドゥ・ピバルノンのロゼは、ムールヴェドル種が主体〕

いくつかの地域では、ラベルに「ロゼ」と表記するが、一方でそれをしないワイナリーもある。色について言うと、サーモン色から鮮紅(せんこう)色、玉ねぎの皮の色まで様々であり、その時々の発酵の気の向くままに変化する。ロゼワインの色合いは、マーケティングの専門家によって日々研究され選ばれている。派手めでキラキラと輝くような色合いのロゼは若い世代に人気がある。

 

ルビー色にきらめくシャトー・ドゥ・ピバルノンのキュベ2015「ニュアンス」をエリック・ドゥ・サンヴィクトール氏、オーナー自ら味見する。

大樽と素焼きの壺の中で醸造される彼のワインからは、まるで古代の歴史がよみがえったかのようだ。シャトー・ドゥ・ピバルノンのキュベ2014は、夏の真っ盛りではなくて、霧深い冬の日に飲まれることをお勧めしたい。

 

これもひとつグラン・ロゼを発見する方法なのである。

 

 

“Eric de Saint Victor goûte les rosés nés d’histoires anciennes,

non d’élucubrations mercantiles.”

 

ロゼワインは伝統・文化・歴史から生まれた。コマーシャル理論からではなく・・・

 

 

“LA REVUE DU VIN DE FRANCE ” No.603 2016, 7/8月号より記事抜粋
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ローヌ&プロヴァンスワインの店

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プロヴァンス “10 etapes gourmandes” ③2017/4/28

プロヴァンス地方を訪れるあなたへ推薦したい10の店
「La Revue du vin de France」 N0.603 2016 7/8月号

 

RVFが選んだ10つのレストラン
後半はマルセイユから東へ1時間ほどの町、オリウルにあるレストランからご紹介します。

 

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LA PROMESSE – Ollioules
ラ・プロメス (オリウル)

マルセイユから地中海沿岸を東方面へ、Highway A50を経由して車で1時間程のところにある町。

 

料理人ヴァレリー・コスタ(Valérie Costa) とジャン=マルク・ブルナゼル(Jean-Marc Bournazel)夫妻は2年前からワインの産地オリウルのドメーヌ・テールブリュンヌに店を構えた。なんという偉業!ワイン畑の真ん中に建てられたラ・プロメスはこの地域でも最も心惹かれる場所であり、素晴らしい美食の体験を提供してくれる。

 

「料理」

ヴァレリー・コスタ氏の情熱と才能は料理における理想を実現している。調理法は完璧、そこへ加わる素晴らしい食材と彼女の活気。決められたメニューはなく、その日に入る食材や季節に応じて変わる。我々が到着した時には、アミガサ茸とアスパラガスがちょうどシーズン中であった。決して外すことのできないのがフロマージュの盛り合わせ、そして胡椒の効いたショコラのデザートだ。

 

「ワイン」
ジャン=マルク・ブルナゼル氏がワインを担当している。非常に幅広いセレクションがあり、フランス国内の素晴らしいワイン畑が選ばれている。400種以上あるがどれも値段は適切と言える。高級ワインも数多く用意され、また日本酒という選択肢までもある。地元バンドル村のワインやテールブリュンヌはグラスからでも注文ができる(8€・白)

 

「詳細情報」
丁寧で洗練されたサービスを提供するためにも席は18までしかなく、予約限定である。

昼のコースは35€から、45€(発見)、79€(アヴァンチュール)が用意される。内容は市場の食材次第

 

http://www.restaurant-lapromesse.fr/ (フランス語)

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LA BASTIDE DES MAGNANS – Vidauban

ラ・バスティード・デ・マニャン (ヴィドバン)

 

プロヴァンス式の邸館の庭の木漏れ日の溢れるテラスに腰掛ければ、安らぎと静寂に満ち溢れた時を過ごすことができるだろう。オーナーのクリスチャン・ブーフ(Christian Bœuf) 氏が微笑みと優しさで客人をもてなしてくれる。

 

「料理」
まっすぐでボリュームのある料理を求める愛好家でも、ここでなら満足するに違いない。地元の素晴らしい食材達が舞台上で演出されているかのようである。魚が王様の役ならば、気取らない子羊とプロヴァンスの野菜が家庭的で郷土的な美食を熱演する。

 

「ワイン」
クリスチャン・ブーフ氏はここでも素晴らしい地元の特徴の演出を成功させている。ローカルワインはコート・ドゥ・プロヴァンスを筆頭に数多く揃えられ、まだ若いワインから熟成したものまで、価格は総じて手頃である。35€からでも楽しむことができる。知っておいて損はないことは、オーナーが所持する“OFF”リストがあって、玄人愛好家向けに隠しておいた秘蔵ワインが載せてある。中には秀逸なコート・ドゥ・プロヴァンスのクロ・カシヴェ・ドゥ・ジェラール・デリュ(2009年度、49€)なんてものまで。

 

「詳細情報」

昼のメニューでは20€でメイン、デザート、カフェが楽しめ、そのコストパフォーマンスと味は目を見張るものがある。夜は35€から、アラカルトの日替わりの魚料理は70€から。

 

http://www.bastidedesmagnans.com/ (フランス語)

 

 

 

 

 

 

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HOSTELLERIE LES GORGES DE PENNAFORT – Callas
オステルリー・レ・ゴルジュ・ドゥ・ペナフォール (カラス)

 

気取りのないメニュー揃い

葡萄畑と岩の絶壁に挟まれたヒンターランドに足を踏み入れてみたい?ホテルとレストランが併設されるオステルリー・レ・ゴルジュ・ドゥ・ペナフォールは安らぎに満ちた時を与えてくれるだろう。フィリップ・ダ・シルヴァ(Philippe Da Silva) 氏は15年以上に渡りこの地で暖かみの溢れた料理を作っている。気取らず、そしてたっぷりとした料理にフォークを差し入れれば、じきに甘美な陶酔が訪れるだろう。

 

「料理」
暖かな寛容さと人をもてなすプロフェッショナルなフィリップ・ダ・シルヴァ氏の性格が料理に現れている。フォアグラとパルメザンチーズのラビオリと、さっぱりとしたオマール海老のサラダ、さっと焼いただけの子羊のキャレ、そして共に添えられる地元の野菜、その全てが我々を美食の道へと誘ってくれる。夏季の夕食を美しいこの場所で過ごせば、プロヴァンスの魅力により一層惹きつけられてしまうだろう。

 

「ワイン」
ワインはよく揃っており特にシャンパーニュの種類は年代物まで豊富である。地元ワインは安心して楽しめるし満足いくレベルである。価格はやや高め。1本目は50€くらいを見込んでおいた方が良いだろう。

 

「詳細情報」
幸福を得るためのコースは80〜160€から。希望者にはシャンパーニュ・ロゼ ボランジェ(2004年)は2名分全て込みで370€のコースもある。

 

http://www.hostellerie-pennafort.com/fr/ (フランス語)

 

 

 

 

 

 

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CAFÉ DE LA FONTAINE – La Turbie
カフェ・ドゥ・ラ・フォンテーヌ (ラ・チュルビィ)

 

モナコ公国へと続く道沿いにある美しい村の中心に、カフェ・ドゥ・ラ・フォンテーヌはある。ラ・チュルビィを訪れたら逃す手はない高級店、ロステルリー・ジェローム (L’Hostellerie Jérôme)の料理長ブルーノ・シリノ(Bruno Cirino) 氏が受け持つ二軒目のカフェ・ドゥ・ラ・フォンテーヌでは、シンプルで暖かみ溢れる料理が胸を打つ。

 

「料理」
プロヴァンス式のファルシー(野菜の肉詰め)、フェンネル風味のスズキのソテー、家禽のロースト、夏の果物のクラフティ…。季節に応じて変化する市場からの食材を最大限に生かした料理がレストランホールを踊り回る。ブルーノ氏のセンスが光る、気取らない美味しい料理に舌鼓を打った。

 

「ワイン」
ブルーノ氏の夫人マリオンさんが選ぶロステルリー・ジェロームのワインの数は35,000本を超える。フランスのぶどう畑から届く最高のワイン、それが同じくカフェ・ドゥ・ラ・フォンテーヌのワインとして手頃な価格で提供されている。常時30種ほどのワインがメニューに揃う。ガウビィの2008年度ラ・ソウラは54€、または2005年度の素晴らしいトレバロンが90€で。

 

「詳細情報」
ビストロは毎日昼と夜営業している。コースはなく、アラカルトで前菜(8€)、メイン(15〜22€)、デザート(6€)から各種選ぶことができる。

 

http://www.hostelleriejerome.com/FR/cafe_fontaine/cafe.html(フランス語)

 

L’Hostellerie Jérôme (ロステルリー・ジェローム)

http://www.hostelleriejerome.com/index.html

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LA CAVE D’YVES – Aix-en-Provence

ラ・カーヴ・ディヴ(エクサンプロバンス)

セザンヌの村にある素敵なビストロ

 

エクサンプロバンスの古き景観を彩る小さな路地、その奥にある小さな店で街の雰囲気を大いに満喫するのはいかがだろうか。ワイン店として、また時にはお腹を満たすビストロとしてこのラ・カーヴ・ディヴは2009年から昼と夜に営業をしている。オーナーによって選ばれた400種以上のワインセレクトから、あなた好みの一本が見つかることだろう。

 

「料理」
仰々しさは一切なく、素敵な料理だけで満たされている。シャルキュトリーの盛り合わせ(ハム、ソーセージ、テリーヌ)とチーズの各種はワインを味わうのに最高の組み合わせである。もう少しボリュームが欲しければ飲み物に合わせた牛のリブステーキなどがお腹をすかせた人も満足させてくれるだろう。

 

「ワイン」

幅広い選択のあるラ・ヴァレ・デュ・ローヌ(ヴィラール、ドメーヌ・デ・トゥールなど)も良いし、プロヴァンスのワインも言うまでもなく推薦できる。どんなワインもグラスで9€から注文でき、カウンターやテラスでイヴ氏の厳選ワインをゆっくり味わうのがオススメ。

 

「詳細情報」
シャルキュトリーの盛り合わせは2名分で11€〜。隣のジロディエ(Giraudier)で作られる子羊のトマト煮込みといったマルセイユ伝統料理も15€から注文できるが、こちらの場合予約は必須。

 

http://www.lacavedyves.com/ (フランス語)

 

 

 

 

 

あなたの好みに合ったお店はみつかったであろうか。

さあここから南フランスへの旅を始めよう。

 

 

前半5つのレストラン情報はこちら

プロヴァンス “10 etapes gourmandes” ②

 

“LA REVUE DU VIN DE FRANCE ” No.603 2016, 7/8月号より記事抜粋
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プロヴァンス “10 etapes gourmandes” ②2017/4/20

プロヴァンス地方を訪れるあなたへ推薦したい10の店

「La Revue du vin de France」 N0.603 2016 7/8月号

 

ここでRVFが選んだ10つのレストラン

地元の食材を使用した、情熱の溢れる店ばかり。まずはレ・ボー・ド・プロヴァンスから。

 

Baumaniere

プロヴァンスの神秘的ロケーション

L’OUSTAU DE BAUMANIÈRE  – Les Baux-de-Provence
ルストー・ドゥ・ボーマニエール (レ・ボー・ド・プロヴァンス)

 

第二次世界大戦後の翌日レイモン・チュイリエール(Raymond Thuilier)氏によってオープン。現在のオーナーであるジャン=アンドレ・シャリアル(Jean-André Charial)氏の祖父である。世界各国の偉人達が滞在し、ここで提供される洗練されたプロヴァンス料理に魅了されてしまった。地元で収穫される極上のエンドウ豆を食べに、遥か遠くの地からやってくる人も大勢いる。

 

「料理」

2014年からここの厨房を担い、風土にあった料理を生み出しているグレン・ヴィエル(Glenn Viel)氏。この若きシェフは巧みな技で、正確で分かりやすい、新鮮な地中海料理を提供してくれる。“乳飲み子羊のもも肉”といった典型的な伝統料理も良いが、よりコンテポラリーで季節感の溢れるメニューも素晴らしい。

 

「ワイン」

この店の優れた点はワインにもある。ソムリエのジル・オゼロ(Gilles Ozzello)氏は長い年月をかけて集めた35,000本以上のボトルを用意している。グラン・クリュを始めとする「ラフィット1880年」といったヴィンテージや格式高いワインが揃うが、同じく手頃な価格で楽しめる地元ワインもメニューに載る。

 

「詳細情報」

昼のメニューはおよそ90€〜。夜は160~210€程度。できればちょっと節約したい人へのアイデアとしては、村の南にもう一軒ジャン=アンドレ・シャリアル氏が持つ店がありそちらもおすすめである。(昼食のみの営業で予算は35€ほど)

 

http://www.oustaudebaumaniere.com/en/gastronomy/gourmet-restaurant-provence-oustau

 

 

 

 

 

Alcyone

Vieux-Portヴュー・ポールにある星付きレストラン

L’ALCYONE – Marseille  アルシオン (マルセイユ)

 

2014年インターコンチネンタルホテルの星付きレストラン アルシオンはマルセイユのヴュー・ポール(旧港)から一歩とない場所に移り、オテル・ドゥ・デューの病院施設だった歴史ある建物が高級料理店へと生まれ変わった。同じ街の「Une Table du Sud」の元オーナー兼シェフであったライオネル・レヴィ(Lionel Levy)氏がここの料理長である。レストランホールの定員は30人ほど、窓からはヴュー・ポールとガルドのノートルダム寺院の景色が広がる。

 

「料理」

マルセイユに来たならばこの高級ホテルの扉を開く価値は間違いなくある。ライオネル・レヴィ氏は個性の強いマルセイユ料理をテーマとして完璧に理解している。食感や香りを大切にした現代風ブイヤベースなどは特筆すべきであるし、地元の食材を用いる点でも素晴らしい。

 

「ワイン」

60€程度の価格のワインの選択肢は比較的少なめ。

 

「詳細情報」

夜のみの営業。コースは好みとワインに合わせ99〜189€と幅がある。景色が見えるテーブルをお願いする事をお忘れなく。

 

Alcyone

 

 

 

 

 

Bacquie

 

RESTAURANT CHRISTOPHE BACQUIÉ  –  l’Hôtel du Castellet
レストラン・クリストフ・バキエ (ロテル・デュ・キャステレ)

 

マルセイユ近郊ル・キャステレ村にある有名なサーキット・ポール・リカールからほど近くにある「ロテル・デュ・キャステレ」は心安らぐ隠れ家である。高級ホテルとして、ゴルフ場、スパを併設し、休息とリラックスの場としてこれ以上ない場所だろう。その中心的存在であるレストラン・クリストフ・バキエはこの場所での滞在において欠かすことのできない経験を提供してくれる。料理長は地域でも最も才能に恵まれた一人であり、自身では3年目となる星付きレストランとしての有力候補でもある。

 

「料理」

2004年MOF国家最優秀職人章を受章したクリストフ・バキエ(Christophe Bacquié)氏の料理には、普遍的な地中海の香り付けがなされている。推薦したいのは「海の散歩道(Promenade en mer)」の名を冠するコースで、およそ4〜7種の料理が用意される。シェフの食材に対する感性と技術が料理を彩り、例えば香辛料の効いた赤魚ヒメジにそら豆とエンドウを添えた一皿は、言うことなしに完璧であった。

 

「ワイン」

ワインセレクションは充実しており、フランス国内の一級品まで揃えてある。価格は総じてやや高めで、安めと言えるものはほとんど見受けられない。おすすめは地元ワインの各種で、78€から楽しむ事ができる。トゥール・ドゥ・ボンのアンソルは、100%ムールヴェードル品種で作られアンフォラ(素焼きの両取手付き壺)の中で熟成された秀逸なワインである。

 

「詳細情報」

「シグナチュール(Signature) 160€」では“鯛とマテ貝のタルタルと酸味のあるクリームにイラン産キャビア・オシェトラ添え”といったクリストフ・バキエ氏の象徴的な料理を一通り味わう事ができるだろう。「海の散歩道(Promenade en mer)」は140〜190€の予算から。

 

http://www.hotelducastellet.net/en/restaurant-bar/gourmet-restaurant-var.html

 

 

 

 

 

Vague d'or

LA VAGUE D’OR   –  Saint-Tropez

ラ・ヴァーグ・ドール (サントロペ)

モノグラムなオートキュイジーヌ

 

サントロペの港からほど近く、観光客向けのバーやレストランが立ち並ぶ中でも、レジデンス・ドゥ・ラ・ピネードと併設するレストラン、ラ・ヴァーグ・ドールは安息の地である。LVMHグループと提携した地域でも最良と呼べる高級店である。

 

「料理」

若き料理界の担い手として最も稀有な才能に恵まれたシェフ、アルノー・ドンケル(Arnaud Donckele)氏が生み出すプロヴァンス料理。どの一皿からも彼の完璧主義が伺える。ミリ単位の料理法と、驚きに溢れた香りの組み合わせ、食感の遊び心…。きっとあなたも彼の料理の全てに魅了されてしまうに違いない。

 

「ワイン」

セレクションとともに価格も高水準である。地元ワインであれば100€以下からでも頼めるが、しかし胸を打つほどではない。アニエス・パケ(Agnès Paquet)氏の素晴らしいムルソー (150€) などをおすすめしたい。アルノー・ドンケル氏の料理との相性は抜群だ。また各コースの料理に合わせられたワインを選ぶことも可能である。

 

「詳細情報」

シーズン中はディナーのみで毎日営業している。コースは205〜340€の予算で、合わせるワインは120〜140€。

 

http://www.vaguedor.com/en/

 

 

 

 

 

Villa Madie

LA VILLA MADIE – Cassis

ラ・ヴィラ・マディ (カシス)

 

カシスという難しい地にあっても、ラ・ヴィラ・マディは2013年からドワズノー(Dimitri et Marielle Droisneau)夫妻を迎えて以来ずっとその人気を維持している。テラスからはカシス湾を望む景色が広がり、さらにシェフの料理がその美しさをより一層引き立てる。店内の内装も同じく素晴らしい。

 

「料理」

ドワノー氏の料理はモダンで、地中海風訛りをきれいに包み隠しつつも彼自身の解釈がされている。前菜の「季節の採集食材と野菜のタルトレット」や、主菜として「地中海で採れたスズキのコブミカンと山椒のエキューム添え」などがある。

 

「ワイン」

ソムリエ長のライオネル・レゴワナ(Lionel Légoinha)氏は650種以上のワインからベストな一本を選んでくれるだろう。ブルゴーニュとプロヴァンスを筆頭に揃っているが、2005年のボー・カステル赤(180€)やバスク地方のイルレギー白2010年(75€)などもいい。珍しい80年代の初期AOCのアペラシオン・カシスに挑戦してみるのもおすすめだ。

 

「詳細情報」

2014年に2度目の星を獲得しただけの実力がある。平日の昼は75€、95€、145€のコースがある。

超高級店よりももっと気軽に行きたい場合は隣の「ル・ビストロ・ラ・プティット・キュイジーヌ」に足を運んでみる方法もあり。

 

http://lavillamadie.com/en/welcome/

 

 

 

後半5つのレストランは③へつづく

“LA REVUE DU VIN DE FRANCE ”  No.603 2016, 7/8月号より記事抜粋

www.larvf.com.

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