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コンドリュ③ヴィオニエについて2023/7/1

ヴィオニエについて

ヴィオニエの発祥地はコンドリュと近隣の村の斜面で単一ブドウ品種により作られます。ローヌ地方北部、ローヌ川沿いにある歴史的にも有名な街ヴィエンヌからほど近いこの土地で、稀有なワインが生まれました。伝説によればこの品種はダルマチアが起源とされローマ皇帝プロブスによってフランスにもたらされたと言われます。しかし最新のブドウのゲノム研究ではヴィオニエの起源はコート・デュ・ローヌ北部の非常に古い野生のブドウ品種に由来すると示されています。長い間かなり狭い限られた地域においてのみコンドリュのワインとして知られていました。このヴィオニエらしさの最も残る古代株を保存しようと保存センターが作られ永久的に品質が守られています。

 

歴史

コンドリュの白ワインは、何世代にもわたり高い評価を得ています。

アヴィニョンに教皇がいた時代から彼らはこのヴィオニエで作るコンドリュワインの偉大なる愛好家でした。 16世紀にはカトリック教会リヨン支部がVIPゲストにコンドリュを選んだとも言われ、またフランスの美食家キュルノンスキー (Curnonsky 1872-1956)は国内で最高の白ワインの1つと評価しました。しかし残念ながら、フィロキセラによる大打撃、第一次世界大戦、1930年代の経済危機が工業化の進展と相まってこの地域でのブドウ栽培はほとんど放棄されました。AOCコンドリュは1940年に登録された時点では170ヘクタールありましたが、生き残ったのはかろうじて数ヘクタール、1965年には8ヘクタール、 その後1986年にコンドリュで植えられたヴィオニエは20ヘクタールとなります。ヴィオニエの僅かな信者によりブドウ畑が維持されていましたが、隣接するコートロティ、サンジョセフの人気が高まり市場の好転により1980年代にコンドリュもその恩恵を受け、放棄されていた斜面が植え替えられ段々状の畑も再建され少しずつ回復し成長へと発展していきます。ヴィオニエの栽培はローヌ地方から南フランスへ、さらに海外へと広がり、2005年時点ではフランス国内で約3,255ヘクタールに植えられています。

 

使用地域
フランスでは、ヴィオニエはコンドリュのワインを作る唯一のブドウ品種であり、隣接するシャトー・グリエと同様に愛好家たちにより楽しまれてきました。またコート・ロティのワインにはシラーの補助品種としても伝統的に使われています。(シラーの植え付けのうち最大20%まで使用可能)1990年代以降、南フランスエリアでも単一品種のワインとして使われたり、補助品種としても高く評価されています。
海外では、イタリア、スペイン、ギリシャ、スイス、オーストリアでも栽培され、最も成功しているのはヨーロッパ以外の土地、アメリカ主にカリフォルニアにおいて主要白ブドウ品種の1つとなっています。オーストラリアでも非常に人気があり白ブドウの植樹面積の70%を占めています。

 

識別方法

-若い枝の端には中密度の毛に覆われている
-わずかに青銅色(ブロンズ)の斑点のある若い緑の葉
-葉柄は様々な角度に開き、薄または中程度の緑色の成葉、小~中サイズ、輪状(ディスク型)、3~5つの葉
-実は丸い

 

生物季節学
つぼみの破裂:シャスラ品種のよう
成熟期間:シャスラから2週間半後の第2期

 

栽培と農学のスキル
この品種は適度に長めに剪定されるため風の影響をわずかに受けやすく、非常に高い植栽密度で栽培される。伝統的に酸性土壌で栽培され、南仏エリアでは干ばつのリスク避けるためも十分に深く、肥沃過ぎない土壌によく適する。つぼみは早めに開き春の霜に晒される。

 

病気や害虫に対する脆弱性
ヴィオニエは病気に特に敏感でなく灰色カビ病に対してもあまり過敏でない。

 

技術的可能性

ヴィオニエは小粒で小さな房を作る。品種の特徴から良い条件下においてアプリコットやピーチなどの香りを持つ非常に香り高いワインを作ることができ複雑で力強く高品質となる。糖度の高さによりボリュームがあり肉厚で、時には酸味がない、苦味が感じられるワインとなる。甘みのあるスパークリングワインに使われたり、他のブドウ主にシラーとブレンドされる 。(おおよそ5~10%の割合で、昔はそれ以上使用された) ヴィオニエをブレンドすることで赤ワインにフィネスと香りの特徴を与える。

 

クローン選抜

以前は承認されたクローンは 1 つだけ (クローン番号 642) で近年非常に広く使用されてきた。新しい健全な株を増やすための大規模な選抜プログラムを開始。コンドリュ地区の伝統的なヴィオニエのブドウ畑を形成する(少数の)個体群のブドウの健康状態が悪くクローン選抜の可能性は制限されていた。しかし近年承認されたクローン 1042 および 1051 は、その生育特性と生産されるワインの品質が考慮され選抜されている。

 

 

 

 

 

参照

Condrieu, l’Or à l’état Pur (vin-condrieu.fr)
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コンドリュ ②地質、天気、地図2023/3/23

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地質

コンドリュのブドウ畑は、中央高地(Massif Central)の東端に沿い広がっている。(補足:中央高地はフランス南部の地域で山地や台地からなりフランス国土のおよそ 1⁄6 の面積を占める)

ヴィエンヌ(Vienne)に隣接するサン・ロマン・アン・ガル(Saint-Romain-En Gal)とセリエール(Serrières)の間にあるこのローヌ渓谷右岸エリアは極端な地形変化が特徴で、渓谷の谷底部分にあたる平均標高 140 mの平らな段丘面である沖積層と平均標高 350 m のペルシン高原(Pélussin)の間の非常に急な斜面がブドウ栽培エリア。シャイエと呼ばれる多数の狭い階段状の地形は花崗岩の岩盤にしがみつくようにあり、狭く、持続的な手入れが必要とされる。 ローヌ渓谷北部のこの地域で地質時代から最新の時代まで続いた出来事は互いに強く結びついており、特定の構造的、形態学的岩石学的観点よりコンドリュアペラシオンのブドウ畑の開発の基本的な要素の1つを構成している。

 

参照 地質についてさらに詳しく

https://www.vin-condrieu.fr/vin-aoc/en/geologie

 

 

天候
この地域は温帯気候の特徴があり温暖な冬、暑い夏、比較的規則的な降水量、そして風の状況がブドウの木に重要な要素となる。南または南東に面している丘の中腹は冷たい北風の影響を受けにくいが熱い南風にさらされしばしば乾燥する。これらの要因がブドウの成熟を早めまたブドウ畑の保護に貢献している。

重要な気候要素
年間平均降水量:700〜800mm
降水日数:80日~110日の間
年間平均気温:約11°C

コンドリュのブドウ畑は非常に急勾配の階段状の畑(シャイエ)で栽培されており、植栽密度が高い(1ヘクタールあたり8,000~10,000本)。 作業の大部分は手動で多くの季節労働力が必要とされる。

 

 

 

 

 

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General Map of Côtes du Rhône/北ローヌ地図

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Map of Condrieu/コンドリュ地図

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Géologic Map/コンドリュ周辺地質地図

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AOCコンドリューワイン生産者連合サイト参照

https://www.vin-condrieu.fr/vin-aoc/en/home


コンドリュ ①基本情報2023/3/22

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(写真はコンドリュにあるフランソワ・デュマのブドウ畑)

 

◆エリア

フランス・リヨンの南約40 km、ヴィエンヌから約10kmのローヌ渓谷に位置、3県(デパルトマン)をまたぎ7つの自治体に広がる。ローヌ県コンドリュー(Condrieu)、ロワール県ヴェラン(Vérin)、サンミッシェルシュルローヌ(Saint-Michel-sur-Rhône)、シャヴァネ(Chavanay)、マルヴァル(Malleval)、サンピエールドブーフ(Saint-Pierre-de-Bœuf)、アルデーシュ県リモニー(Limony)

 

ローヌ河右岸(西側)、pilat(ピラ)山塊の麓にあたる急斜面で栽培され、傾斜が50%以上のところも多くテラス(階段状の畑)になっており栽培は大変注意深く行われています。

 

 

◆ブドウ品種
ヴィオニエ・ドレのみ(Viognier Doré)※Doreはゴールデンの意味

 

 

◆詳細
AOC:1940年~
白ワイン
ブドウ品種:ヴィオニエ
AOC表面面積:260ヘクタール
生産面積:約170ヘクタール
土壌:分解された花崗岩
特徴:段々になったブドウ畑、南・南東向き
標高:約250m
最大許可収量:41 hl / ha
平均年間生産量:6000 hl
※コンドリュ公式データ参照

 

 

コンドリュワインのアペラシオンは、

インスティテュート・オブ・コントロール・ド・アペラシオン認定の管理機構である “Syndicat des Vignerons del’AOC Condrieu” により管理されています。AOCの最後の改革以来、防衛管理機構ODG (l’Organisme de Défense et de Gestion)は、INAO(国立原産地名称研究所)と共同でアペラシオンの規定や仕様、その順守を管理する責任を担い、またあらゆる偽造ワインの監視、コート・デュ・ローヌの専門家組織「インターローヌ」や「コート・デュ・ローヌ・セプテントリオナーレス技術協会」およびローヌ・ロワール農業会議所によるサポートを受けるワイン生産者に対して成熟度管理、トレーニング等の技術支援をしています。新しい防衛管理機構ODGは、AOCとほぼ同時に創設された“Syndicat des Vignerons del’AOC Condrieu”の任務を引き継いでいます。

 

このシンジケートは 1940 年 5 月に設立準備が進みましたが戦争により中断1944 年有効となりました。1944年9月設立、初代会長はジョセフ・ヴォーダイン(Joseph Vaudaine)、1980年代まではブドウ畑の経済状況が悪化し放棄された丘陵地帯が増えたため、その後シャヴァネ(Chavanay)、マルヴァル(Malleval)、リモニー(Limony)、サンピエールドブーフ(St Pierre de Bœuf)のコミューンが追加されたと考えられています。それ以来若いワイン生産者たちがブドウ栽培に加わり丘陵斜面に植え替えされていきました。

 

この時代を象徴するワイン生産者ジョルジュ・ヴェルネ(Georges Vernay)は1990年代半ばまでシンジケートの代表を務め彼のリーダーシップのもと非常に広く定義されていたアペラシオンの地域が1986年に改訂され、最高の丘陵地帯に大幅に縮小されました。以降シンジケートの代表としてロベール・ニエロ(Robert Niero)、フィリップ・フォーリ(Philippe Faury)、イヴ・キュイエロン(Yves Cuilleron)、そして現在はクリストフ・ピション(Christophe Pichon)が代表を務めます。このダイナミックなワイン生産者たちによるチームでの支援と貢献により卓越したアペラシオンへと成長していきました。 つづく

 

AOCコンドリューワイン生産者連合サイト参照

https://www.vin-condrieu.fr/vin-aoc/fr/home

 

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【AOC】Côte Rôtie コート・ロティ2022/3/11

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◆エリア

ローヌ川右岸、コート・デュ・ローヌ・セプテントリオナル(北ローヌ)の北部に位置するコート・ロティ。地理的エリアは1940年以来アンピュイ(Ampuis)とテュパン・エ・セモン(Tupin Semons)の2つの自治体にまたがる。アペラシオン(原産地統制呼称)は1966年にサン・シル・シュル・ローヌ(Saint-Cyr Sur Rhône)のコミューンにも拡張された。

 

 

◆テロワール(地理や環境条件)

フランス中南部を占める山地マッシフ・セントラル(中央山塊)の東端に位置しており、非常に急な斜面でブドウは栽培されている。南向きに開けた場所であるため畑は北・西側から吹く風から守られて例外的な微気候の恩恵を受けている。コート・ロティは正確には「ラ・コート・ブリュンヌ」と「ラ・コート・ブロンド」の2区画に区分され土地の特徴が異なる。

 

 

◆主な土壌
「コート・ブリュンヌ」
アペラシオン全体の3分の2を占めるコート・ブリュンヌは北部のサン・シル・シュル・ローヌとアンピュイにあたり、主に粘土層と結晶片岩土壌、土の色はより濃い。コート・ブリュンヌを象徴するテロワールは、レ・グランド・プラス、ランスマン、コート・ロジエ、ランドンヌ。これらは4つのドメーヌ「ロスタン」「ゲラン」「ギガル」「ドゥラス」で製造されている。

「コート・ブロンド」
アンピュイから南へテュパン・エ・セモン、アペラシオン・コンドリューの境界線にかけて広がるのがコート・ブロンドで片麻岩、土の色は明るめ。南部のメゾン・ルージュやコトー・ド・バスノンが有名。ここでは白ブドウのヴィオニエも作られている。

 

 

◆ブドウ品種
シラー、ヴィオニエ(最大20%)

 
◆ワインの特徴
コート・ロティは一般的に非常に複雑さのある芳香とエレガントで上質な赤ワインとなる。テロワールにより一層特徴づけられ、北部の「コート・ブリュンヌ」はタンニンが効いた力強い印象で骨格のしっかりしたワイン、南部の「コート・ブロンド」はバランスよく上質なタンニンを感じられるまろやかで優しい味わいで若いうちから楽しめるとされる。

 

 

◆歴史
ガロ・ローマ時代から知られたブドウ産地でローマ人がリオンの南30キロにあるヴィエンヌ(Vienne)を植民地とした頃よりブドウ畑の開発が進んだ。中世の終わりまではこの地域の領主によって作られた障害物により北側とのワイン貿易は発展しなかったが17世紀になりロワール川によってパリへの流通が発展、以来この産地のワインの評判が徐々に高まっていった。

 

 

◆醸造方法
長時間の醸し(マセラシオン)により果皮をつけこみ発酵。ヴィオニエを最大20%まで加えることが許されている。

 

 

◆基本収量
40hl / ha

 

 

◆生産ワイン比率

N/A
◆栽培面積

N/A

 

参照
INAOデータ 2021年6月11日更新
La Revue du Vin de France No.600 2016年 4月号

 

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「コート・ロティ」ローヌの新たな選択肢


【AOC】Châteauneuf-du-Pape シャトーヌフ・デュ・パプ12021/12/10

シャトーヌフ・デュ・パプ

◆エリア
ローヌ地方主要都市アヴィニョンの北約15km付近に位置し、ローヌ川左岸に広がる産地

ヴォークリューズ県(Vaucluse)の5つのコミューン  シャトーヌフ・デュ・パプ(Châteauneuf du Pape) ベダリッド(Bédarrides)クルテゾン( Courthézon)オランジュ (Orange)ソルグ( Sorgues)にあたる

 

◆テロワール

地中海性気候で、ローヌ地方で最も乾燥している。日照は年間約2800時間、夏の平均気温は25℃。ミストラルが空気を乾燥させ、ブドウを健やかに保つ。氷河期にアルプスからローヌ地方の河川を通り運ばれた丸い石は、日中に太陽の熱を集め、夜は熱を放射するため、ブドウ栽培に適した土地となっている。土壌はやや深く、非常に石が多い。大部分が砂の多い赤い粘土と混ざった大きさな珪岩の石の層からなる。

 

◆主な土壌

・古い段丘の石の多い土壌
・モラッセ(アルプスの砕屑物を主とする厚い古第三紀層、礫,砂,粘土などが雑然として堆積した厚い地層) と砂岩の砂質土
・石灰岩の下層土の上に小石の多い土壌

砂質

 

◆生産ワイン比率

赤(94%)、白(6%) 2009年データ

 

◆栽培面積

3,164ha

密度はブドウの木の間が最大2m、1ヘクタールあたり最小3,000本のブドウの木、列の間隔は最大2.50m

 

◆基本収量

35hl/ha

 

◆ブドウ品種

グルナッシュ、シラー、ムールヴェドル、ピクプール、テレノワール、クノワーズ、ミュスカルダン、ヴァカレーズ、ピカルダン、サンソー、クレレット、ルーサンヌ、ブールブラン

 

◆ワインの特徴

【白】フローラルなニュアンスがある繊細なアロマをもつ。味わいはバランスがとれ、アロマの爽やかさが残る。

【赤】深い濃赤色で重厚なものから軽めで柔らかいエレガントなものもある。太陽を感じる赤い果実、スパイス、熟成によりジビエの香りが現れる。味わいはまろやかで、しなやかなボディをもつ。土壌の複雑さ、ブドウ品種のアサンブラージュなどによって、多様なワインを生み出している。

 

◆飲用温度

【白】8~12℃ 【赤】16~18℃

 

◆AOC取得年

1936
◆日照時間

2800時間/年
◆降雨量

670mm/年

 

 

◆ミストラルの吹く日

130日/年

 

 

◆歴史

シャトーヌフ・デュ・パプは「教皇の新しい城」を意味している。アヴィニョンにローマ教皇庁があった14世紀頃に教皇の避暑地としてこの城を建てたことに由来しており今は廃墟となっているが村のシンボル。歴代の教皇がブドウ栽培を奨励しそれが現在に続き多様な品種が作られているのが魅力的でもある。ワインボトルは特徴的で、教皇のかぶる三重王冠の下に2つの鍵が交差する紋章がラベルの上部に入っていることが多い。またここは原産地呼称制度(AOC)の基盤が形成されたエリアでもあり、19世紀後半の害虫フィロキセラの被害を受け、ワインの品質悪化、偽造ワインの流通が増す中、当地のルロワ男爵が産地の名声を守るべく1923年ワイン生産者と組合を結成、生産地やブドウ品種の制限、栽培の決まりの制定を提唱したことが始まり。この活動はやがて各地に広がり1935年にフランス全土に及ぶ公的な制度へと発展した。

 

参照 : inter rhone

http://www.chateauneuf.com/english/index.html

INAOデータ 2021年12月一部更新
シャトーヌフ・デュ・パプ


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