【AOC】Côte Rôtie コート・ロティ2022/3/11
◆エリア
ローヌ川右岸、コート・デュ・ローヌ・セプテントリオナル(北ローヌ)の北部に位置するコート・ロティ。地理的エリアは1940年以来アンピュイ(Ampuis)とテュパン・エ・セモン(Tupin Semons)の2つの自治体にまたがる。アペラシオン(原産地統制呼称)は1966年にサン・シル・シュル・ローヌ(Saint-Cyr Sur Rhône)のコミューンにも拡張された。
◆テロワール(地理や環境条件)
フランス中南部を占める山地マッシフ・セントラル(中央山塊)の東端に位置しており、非常に急な斜面でブドウは栽培されている。南向きに開けた場所であるため畑は北・西側から吹く風から守られて例外的な微気候の恩恵を受けている。コート・ロティは正確には「ラ・コート・ブリュンヌ」と「ラ・コート・ブロンド」の2区画に区分され土地の特徴が異なる。
◆主な土壌
「コート・ブリュンヌ」
アペラシオン全体の3分の2を占めるコート・ブリュンヌは北部のサン・シル・シュル・ローヌとアンピュイにあたり、主に粘土層と結晶片岩土壌、土の色はより濃い。コート・ブリュンヌを象徴するテロワールは、レ・グランド・プラス、ランスマン、コート・ロジエ、ランドンヌ。これらは4つのドメーヌ「ロスタン」「ゲラン」「ギガル」「ドゥラス」で製造されている。
「コート・ブロンド」
アンピュイから南へテュパン・エ・セモン、アペラシオン・コンドリューの境界線にかけて広がるのがコート・ブロンドで片麻岩、土の色は明るめ。南部のメゾン・ルージュやコトー・ド・バスノンが有名。ここでは白ブドウのヴィオニエも作られている。
◆ブドウ品種
シラー、ヴィオニエ(最大20%)
◆ワインの特徴
コート・ロティは一般的に非常に複雑さのある芳香とエレガントで上質な赤ワインとなる。テロワールにより一層特徴づけられ、北部の「コート・ブリュンヌ」はタンニンが効いた力強い印象で骨格のしっかりしたワイン、南部の「コート・ブロンド」はバランスよく上質なタンニンを感じられるまろやかで優しい味わいで若いうちから楽しめるとされる。
◆歴史
ガロ・ローマ時代から知られたブドウ産地でローマ人がリオンの南30キロにあるヴィエンヌ(Vienne)を植民地とした頃よりブドウ畑の開発が進んだ。中世の終わりまではこの地域の領主によって作られた障害物により北側とのワイン貿易は発展しなかったが17世紀になりロワール川によってパリへの流通が発展、以来この産地のワインの評判が徐々に高まっていった。
◆醸造方法
長時間の醸し(マセラシオン)により果皮をつけこみ発酵。ヴィオニエを最大20%まで加えることが許されている。
◆基本収量
40hl / ha
◆生産ワイン比率
N/A
◆栽培面積
N/A
参照
INAOデータ 2021年6月11日更新
La Revue du Vin de France No.600 2016年 4月号
【AOC】Châteauneuf-du-Pape シャトーヌフ・デュ・パプ12021/12/10
◆エリア
ローヌ地方主要都市アヴィニョンの北約15km付近に位置し、ローヌ川左岸に広がる産地
ヴォークリューズ県(Vaucluse)の5つのコミューン シャトーヌフ・デュ・パプ(Châteauneuf du Pape) ベダリッド(Bédarrides)クルテゾン( Courthézon)オランジュ (Orange)ソルグ( Sorgues)にあたる
◆テロワール
地中海性気候で、ローヌ地方で最も乾燥している。日照は年間約2800時間、夏の平均気温は25℃。ミストラルが空気を乾燥させ、ブドウを健やかに保つ。氷河期にアルプスからローヌ地方の河川を通り運ばれた丸い石は、日中に太陽の熱を集め、夜は熱を放射するため、ブドウ栽培に適した土地となっている。土壌はやや深く、非常に石が多い。大部分が砂の多い赤い粘土と混ざった大きさな珪岩の石の層からなる。
◆主な土壌
・古い段丘の石の多い土壌
・モラッセ(アルプスの砕屑物を主とする厚い古第三紀層、礫,砂,粘土などが雑然として堆積した厚い地層) と砂岩の砂質土
・石灰岩の下層土の上に小石の多い土壌
◆生産ワイン比率
赤(94%)、白(6%) 2009年データ
◆栽培面積
3,164ha
密度はブドウの木の間が最大2m、1ヘクタールあたり最小3,000本のブドウの木、列の間隔は最大2.50m
◆基本収量
35hl/ha
◆ブドウ品種
グルナッシュ、シラー、ムールヴェドル、ピクプール、テレノワール、クノワーズ、ミュスカルダン、ヴァカレーズ、ピカルダン、サンソー、クレレット、ルーサンヌ、ブールブラン
◆ワインの特徴
【白】フローラルなニュアンスがある繊細なアロマをもつ。味わいはバランスがとれ、アロマの爽やかさが残る。
【赤】深い濃赤色で重厚なものから軽めで柔らかいエレガントなものもある。太陽を感じる赤い果実、スパイス、熟成によりジビエの香りが現れる。味わいはまろやかで、しなやかなボディをもつ。土壌の複雑さ、ブドウ品種のアサンブラージュなどによって、多様なワインを生み出している。
◆飲用温度
【白】8~12℃ 【赤】16~18℃
◆AOC取得年
1936
◆日照時間
2800時間/年
◆降雨量
670mm/年
◆ミストラルの吹く日
130日/年
◆歴史
シャトーヌフ・デュ・パプは「教皇の新しい城」を意味している。アヴィニョンにローマ教皇庁があった14世紀頃に教皇の避暑地としてこの城を建てたことに由来しており今は廃墟となっているが村のシンボル。歴代の教皇がブドウ栽培を奨励しそれが現在に続き多様な品種が作られているのが魅力的でもある。ワインボトルは特徴的で、教皇のかぶる三重王冠の下に2つの鍵が交差する紋章がラベルの上部に入っていることが多い。またここは原産地呼称制度(AOC)の基盤が形成されたエリアでもあり、19世紀後半の害虫フィロキセラの被害を受け、ワインの品質悪化、偽造ワインの流通が増す中、当地のルロワ男爵が産地の名声を守るべく1923年ワイン生産者と組合を結成、生産地やブドウ品種の制限、栽培の決まりの制定を提唱したことが始まり。この活動はやがて各地に広がり1935年にフランス全土に及ぶ公的な制度へと発展した。
参照 : inter rhone
http://www.chateauneuf.com/english/index.html
INAOデータ 2021年12月一部更新
【AOC】Châteauneuf-du-Pape シャトーヌフ・デュ・パプ22021/10/29
歴史:
発見された珍しい文書によれば村の歴史はとても古く、過去を追跡するのはとても難しいが何世紀にもわたって村の名前が進化してきた。1094年にさかのぼり、文書には「カストロノヴォ(Castronovo)」という名前で村の歴史が記載されている。これは「要塞化された村」を意味する。13世紀には村は「シャトーヌフ・カルセルニエ(Châteauneuf-Calcernier)」と名付けられ、当時大量に生産されていた石灰を示す「カルセルニエ(calcernier)」が由来となり村の経済的成功に貢献していた。1893年、教皇ヨハネス22世の主導で14世紀に建てられた城がある場所を、ジョセフ・デュコ市長と役人の要請により「シャトーヌフ・デュ・パプ」と名付けられた。
村の経済活動の進化:
村の経済には2つの物流経路があった。ひとつは重要な水路であるローヌ川、もうひとつはローマ人により建設され、アルルから南へ、リヨンから北へのアクセスを可能にした「幹線道路」。13世紀には建設に使用される石灰に関わる全体の需要が高まり当時シャトーヌフ・カルセニエで生産された石灰の質と量により村は活気が溢れ繁栄がもらたされた。14世紀に村は石灰、タイル、塩、ぶどう樹の栽培により商業が活性化。クオリティーの高いタイルの販売は成功、また塩の商船がローヌの他の港に課せられる税金の対象とされることなく、そこで商品を降ろすことができるよう、アヴィニョンの司教は1238年にシャトーヌフ近くに設立された港で塩の貿易を行うため無料で港を所有する権利を与えた。当時、塩は特別なもので村の重要な収入源であった。14世紀初頭、教皇の到着は村の経済的ダイナミズムの始まりとなる。村の多くの住民が働きについたが、外部からも多くの労働者や職人がやってきて城の建設に取り組む。シャトーヌフ港は、石灰以外の材料の供給において主要な役割を果たしていた。貿易と村の採石場からのタイルと石を使った工芸品で賑わいをみせる。14世紀には、ぶどう樹が耕作地のほぼ半分を占め、残りの半分は穀物が栽培され、オリーブの木や、バラの文化も存在した。何世紀にもわたりぶどう樹の栽培は村の経済を占めてきたが17世紀の終わりにはワイン貿易や樽職人はほとんど姿を消す。1866年のブドウネアブラムシの危機後ぶどう畑の再建がはじまる。第一次世界大戦の前にはシャトーヌフ・デュ・パプには11の樽職人がいたが、ワインの輸送方法の移り替わりにより樽職人は徐々に消えていく。現在の経済活動はぶどう畑と観光業に集中している。
有名なぶどう畑:
ローマ時代にまでさかのぼり、見つかった最も古い書物では1157年にぶどう樹の栽培について触れられている。アヴィニョンに教皇が到着したことでぶどう畑に新しい命が吹き込まれ、このぶどう畑のワインに興味を示したのはクレメンス5世。彼の後継者であるヨハネス22世は城の建設の起源となる教皇であり、彼を「ワインの教皇」と呼んだ。1325年から1334年まで、3,000リットル以上のワインが教皇庁で販売され、開催されるレセプションには多くの外国大使が招待されていた。樽はイタリア、ドイツ、イギリスだけでなく、大西洋を越えて迅速に出荷されていたが、18世紀に樽での販売はボトルの販売へと代わる。シャトーヌフ・デュ・パプの4つの代表的な品種はジョセフ・デュコ(Joseph Ducos)市長により試飲を重ねブドウ品種の魅力、特徴を定義し決定された。ブドウネアブラムシは1866年にぶどう畑を襲い19世紀の終わりまで続く。ブドウ畑の再建は1878年まで行われなかった。現在はぶどう畑の面積は大きくなり、生産量も増え、ワインの取引も活況を呈している。
1933年、フランスの最高司法裁判所によってシャトーヌフ・デュ・パプの原産地と生産条件が確認され、原産地の品質が保証された。現在、3,200ヘクタールのぶどう畑がシャトーヌフ・デュ・パプのアペラシオンとして、そのワインは世界中で高く評価されている。
参照:シャトーヌフ・デュ・パプ役所サイト
https://www.chateauneufdupape.org/fr/48/histoire-du-village-de-chateauneuf-du-pape
【AOC】Bandol バンドール2021/9/24
背後はサント・ボーム
♦エリアと歴史
プロヴァンス地方地中海沿岸、フランス第2の都市マルセイユの東、トゥーロンの西20kmに位置するプロヴァンスでは最もよく知られるワインの生産地。赤ワインが有名なこのバンドールは、海に面した広大な山の円形劇場型のエリアでサント・ボーム山塊やモン・コーム(山)に囲まれている。この地では紀元前6世紀頃にマルセイユの町を築いたポカイア人(フォカイア人とも呼ばれる古代ギリシア人)によってブドウ栽培とワイン造りの文化が広められ、その後ワインの交易が発展、オリーブオイルやワインの取引が組織化された。海底からは当時のアンフォラなども見つかっている。
このエリアはプロヴァンス特有の東風とミストラルと呼ばれる強い北西風の影響が少なく、比較的安全な港であったためワインの輸出港として19世紀頃まで栄え多くの商船が寄港、港は浅く停泊している大型船にバンドールの「B」が刻印されたオーク樽が運ばれる光景がよく見られたという。出所と真正を保証するマークでもあった。ワイン産業の繁栄は樽製造業の発展ももたらし、1850年ごろには100の樽製造業者が存在した。
ワインは美食家で知られる国王ルイ15世にも愛され王宮の食卓を飾った。この土地で作られるバランスのとれた骨格あるワインは輸送も容易で評判に。バンドールの町は19世紀末の鉄道開通により避暑地としても栄えるようになり今もなお美しい砂浜が広がり夏のリゾートとして人気が高い。現在は高品質なロゼワインの産地でもあり休暇に訪れる人々によってその多くが消費されている。
♦テロワール
南向きの斜面で年間日照時間は3,000時間、年間降水量は650mで秋と冬に多い。東・南東からの風がこのエリアの通風をよくし、地中海からの風が夜間も一定の湿度を保ち、夏の強烈な暑さからブドウを守る。ミストラル(北風)は激しい降雨の後でも病気の原因になる湿度を畑から吹き飛ばしてくれる。
♦土壌
主に白亜紀の土、 バンドールの典型的なテロワールとは非常に痩せた土壌で、主に石灰質砂岩と砂質泥炭土の風化物、ガラ場や崩積土から構成される。
♦ブドウ品種
【白ワイン】ブールブラン、クレレットブランシュ、ソーヴィニヨンブラン、ユニブラン、マルサンヌ、ロール(ヴェルメンティーノ)、セミヨン
【ロゼワイン】ムールヴェドル、グルナッシュ、サンソー
これら3つの品種のうち少なくとも2つ使用することが義務付けられている。
補助品種:シラー、カリニャン
【赤ワイン】ムールヴェドル、グルナッシュ、サンソー(ムールヴェドルは50%以上必須)
これら3つの品種のうち少なくとも2つ使用することが義務付けられている。
補助品種:シラー、カリニャン
♦ワインの特徴
【白ワイン】ライムとほうき(エニシダ:常緑または落葉性の低木)の香りのある淡い麦わら色
【ロゼワイン】直接圧搾法による。淡い色、ワイルドローズの色合い。ムールヴェドルの比率が上がるとより長く楽しめる
【赤ワイン】ムールヴェドルがワインに気品を与え、力強く、タンニンが豊富で骨格がしっかりした長命なワインとなる。赤い果実の香りが特徴で熟成するとトリュフや下草の香りも。樽熟成最低18ヶ月
♦ワイン生産比率
白(4%): ロゼ(73%) : 赤(23%) ※2009年データ
♦栽培密度
5,000本/ヘクタール
♦基本収量
40hl/ha
♦AOC取得年
1941年
♦ワイン生産量
55,000 ヘクトリットル
♦生産者数
2つの協同組合(生産の40%)と63軒の独立したワイナリー(生産の60%)
葡萄農家の数350軒
♦栽培面積
1,500ヘクタール
♦畑
Le Beausset ;
La Cadière-d’Azur ;
Le Castellet ;
Ollioules ;
Saint-Cyr-sur-Mer (Château pradeaux, Château d’Azur, Maubernard, La Chrétienne, Cagueloup, Sorin, Pieracci, Frégate, l’Estagnol et Pey Neuf) ;
Sainte-Anne-d’Évenos ;
Sanary-sur-Mer ;
Bandol, AOC
INAOデータ参照 更新日:2019年5月17日
Bandol 役所のサイト http://www.bandol.fr/accueil-3.html
https://www.facebook.com/villebandol/
http://www.fetedumillesime.com/fr/les-domaines.cfm
The Terroir and Soil of Chateauneuf du Pape2019/2/10
The Terroir and Soil of Chateauneuf du Pape:
“The soils found in Chateauneuf du Pape, with its combination of rocks, stone, sand, limestone and clay terroir would be poor for most living things. But it’s perfect for the grapes grown in the appellation.
In the west, where the commune of Chateauneuf du Pape is located, you find soils with various sizes of rocks, stone, sand, clay and pebbles. In France, the various rocks, stones and pebbles are referred to as galets roulés. These rocks, stones and pebbles play an integral in the terroir and the development of the grape.
The various stones reflect light to the vines, leafs and grapes. They also absorb heat during the day and radiate that heat to the vines during the cooler evenings, which aids in the development and ripening of the fruit.
The rocky, stone filled terroirs produce ripe, concentrated, full bodied, intense wines. While many of the soils are riddled with stones, in the cooler terroirs found in the west, you also have deposits of limestone, which is perfect for the white wines. Red wines from limestone provide intense garrigue aromatics. In the northern part of the appellation, where Orange is located, you have more sand, clay, pebbles, limestone and marl, but less large stones and rocks.
The sandy soils often produce the wine elegant, supple wines in all of Chateauneuf du Pape. To the east you find Courthezon and Bedarrides with sand, pebbles and marl and in the southern part of the appellation, the soils have more sand, gravel, marl, clay and limestone in the terroir. The clay soils are perfect for making wines with richness and concentration!”
to read more: https://www.thewinecellarinsider.com/rhone-wines-cote-rotie…
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